国際協働のヒント

美術館の組織体制

2025.09.26

海外の美術館と協働すると、スタッフの多さに驚くことがあります。日本の美術館では、学芸と総務を中心とした組織体制が一般的で、展覧会を担当する学芸員が多岐にわたる業務を担当します。一方、海外の美術館では分業化が進んでおり、キュレーターに加えて、コーディネーター、テクニカルディレクター、レジストラー、コンサバター、広報、ファンドレイザーなど、それぞれの分野に特化したスタッフがいます。日本でも近年は、教育普及や広報などの部門を設置する美術館が増えてきましたが、海外では職域がよりはっきりと分かれており、各分野において専門性が高いスタッフで構成されている傾向があります。

また、美術館の方針や予算に決定権を持つ「Board of Trustees(理事会)」のような意思決定機関が設けられていることもあります。ニューサウスウェールズ州立美術館とロサンゼルス現代美術館にも設置されています。

海外の美術館と協働する際には、こうした多層的な組織構造を理解しておくことも円滑なプロジェクト推進につながります。

Point!

分業制が進んでいる美術館の場合は、組織体制や各スタッフの立場を理解することも重要。